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アンヘレス・アルバリーニョの物語

『アンへレス・アルバリーニョ号』

現在スペインで話題となっている船「アンへレス・アルバリーニョ号」。

この船は、海洋学研究の為、スペインの中で最先端の設備を搭載し、海の生態系やプランクトン、海洋汚染の調査に加え、昔海中に沈んだ史跡や船の調査まで幅広く活躍しています。

今回、ある悲しい事件により、皮肉にもその脚光を集めました。

『テネリフェ島幼女誘拐殺害事件』

今年4月27日、スペインの南西部に位置するテネリフェ島に暮らす6歳のオリビアと1歳のアンナが、父親のトマス・ギメノに誘拐されました。

そして同日、2人は父親に殺害され、遺体はおもりと共に海に投げ込まれ、水深1,000メートルまで沈められました。

この恐ろしい事件の解決と海底での遺体捜索の為に、ガリシア州ビーゴ港からその正確な調査機能をかわれアンヘレス・アルバリーニョ号と専門家たちが派遣されてきました。

そしてスペイン治安警察ガーディアル・シビルとアンヘレス・アルバリーニョ号の働きにより、6月10日にオリビアちゃんの変わり果てた姿が海底から発見されました。

そのオリビアちゃんの隣にあった空のバッグには、おそらくアンナの遺体が入っていたと推測されていますが、バックの破損により遺体は流され行方不明となってしまいました。

残念ながら、1か月以上にわたる捜索は6月16日に終了するとのことですが、罪のない2人の少女の命を絶つという残酷な行為に、スペイン全土が衝撃を受け、心を痛めています。

しかし、このような特徴を持つ船を使って人を探すのは、スペインでは初めてのことでもあり多くの人が関心をもってこの動向を見守っていました。

全長46メートル強の船には、乗組員、技術者、科学者、そして事件を担当するガーディア・シビルの職員など27人が乗船しており、人々の関心は、さらにこの船につけられた名前にも及びました。

『アンヘレス・アルバリーニョ博士』

そして今回、幸いにもオリビアちゃん発見に貢献した船には、史上最も重要な世界の科学者1,000人をリストアップした作品である「Encyclopedia of World Scientists」に登場する唯一のスペイン人科学者アンヘレス・アルバリーニョの名前が付けられていました。

彼女は、世界の海洋学の先駆者として知られ、生涯で22種類もの海洋生物を発見し、死後2015年に王立ガリシアアカデミーにより6月1日「ガリシアの科学の日」を祝うために、女性研究者としては初めて表彰されました。

アンヘレス・アルバリーニョは、1916年10月3日、ガリシア地方の海岸沿いの小さな町セランテスに生まれました。

彼女は医者とピアノ教師の娘で、幼い頃から非常に高い学習能力を持っていたそうです。

3歳の時には文字が読めるようになっていたという逸話も残っています。

サンティアゴ・デ・コンポステーラで中等教育を学び、1934年にはマドリードに移り、自然科学の教育を修了しました。

しかし彼女のキャリアは南北戦争でにより中断され、ガリシアに戻らなければいけなくなりました。

そんな状況の中でも彼女は時間を無駄にせず精力的に、英語、ドイツ語、フランス語を学んでいきました。

ようやく学業を再開することができるようになり、奨学金を得て海洋生物学協会の研究所で働くことになりました。

そしてアンヘレスは、科学者としてイギリスの調査船に乗船した最初の女性になりました。

この奨学金を獲得した後、さらに多くの奨学金を獲得ながら、彼女は偉大な海洋研究者であるロジャー・レヴェールと協力し、さまざまな種類の動物プランクトンを発見しました。

その後に、スペインの国籍を失うことなくアメリカ国籍を取得し、1987年に科学者を引退しました。

引退後は、メキシコ、アメリカなど世界各地の大学で教鞭をとり、España y la primera expedición científica oceánica dedicada a la Expedición Malaspina(スペインとマラスピナ探検隊に捧げられた最初の海洋科学探検)などの人気作品を発表した後、2005年にカリフォルニアで死去しました。

そんな彼女の功績がたたえられ、世界の科学者1000人をリストアップした「世界科学者百科事典」に登場する唯一のスペイン人科学者となりました。

『事件とアンへレス』

海洋学者として海の研究に生涯をささげたアンヘレスの名前が付けられた船が、こうした悲惨な事件解決のカギとして役立てられたことは、皮肉ながらも不思議な縁に感じます。

そしてまた、このようなかたちで彼女の生涯に再び脚光があてられましたが、科学を追求する彼女にとっては、この船の功績はきっと喜ばしいことではないでしょうか。

ということで、本日はそんな「アンヘレス・アルバリーニョ」にちなみアルバリーニョ100%を使用し、同じ女性としてスペイン内外から評価の高い醸造家カティア・アルバレスの造る「アルバ・マルティン」。

アンヘレスの育ったガリシアを代表する「海のワイン」として、世界からも注目されている品種です。

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