SHOP

BLOG

各地の名産品を求めて

日本は南北に長く周囲を海に囲まれ、また四季もあるので、各地で独自の食文化・アルコール文化が発達しました。
各地の試飲展示会に参加する際は、その土地の食文化・アルコール文化に触れる機会でもあり、いつもとても楽しみにしています。

高級なものばかりを求める、というのでは決してなく、例えばラーメン一つとっても各地にいろいろなものがあり、つい食べたくなってしまいます。
今回、「ワインコンプレックス」で訪れた札幌にも、もちろん多くのラーメン店があり、とても賑わっていました。

食事を、時間をかけてゆっくりと楽しむ、楽しみたい、という外国からの観光客は別にして、ラーメンや丼物、昔の寿司を含めた立ち食い文化等を前にすると、店側にも客側にも「ここではさっと食べて、さっと帰る」という暗黙の了解が、日本にはあると思います。
長居は野暮、という考え方もあるのかもしれません。
江戸の昔には、さっと帰ることこそが粋とされていたようです。
今でも一杯の酒をさっと飲んで勘定を済ませる人を見ると、スマートだな、と感じる時があります。

無意識のうちに、食事にスピード感を持つことが求められる生活の中にいると、ワインはこの考え方とは正反対に位置するような気がしてなりません。
ゆっくりと流れる時間をも楽しむのが、ワインの素晴らしさなのかもしれません。

欧州には「食前酒」のためだけに集まる地域、文化があります。
仕事の後、夕食の前に一杯の食前酒を仲間内で楽しむだけのために、わざわざ集うのです。
その時間が終われば、それぞれが自宅やレストランで食事をするために解散となります。
この食前酒に、例えばワインを選べば、その一杯をそれこそたっぷりと時間をかけて楽しむのです。

世界が均一化してしまうことほど退屈なことはありません。
特に食文化やアルコール文化は、多種多様であってほしいと常に思います。
不思議とガルナッチャが入った、スペインの重めの赤を一人で飲んでいると、ついそんなことを考えてしまいます。

今後も来週の京都を筆頭に、仙台、金沢と各地での試飲展示会が続きます。
その土地の美味しい物を楽しめるように、そして、出来ればスペインの美味しいワインに合うものが見つかるようにと、今からそんなことをも考えてしまいます。
これもまた、アルコールを楽しむことの一つの形なのかもしれません。
いや、酒飲みの単なる言い訳、と言われてしまいますかね。

ブログ一覧