欧州と日本、或いは北米と日本を比較して、個人の装いに大きな違いがあると思うのが、サングラスの存在です。
欧州、北米では、日本に比べ圧倒的に多くの人々が使用しています。
この季節、特にそう感じてしまいます。
そこには現実的な問題が存在します。
日本では主に「ファッション」としての側面からサングラスが求められていると思うのですが、世界には「目の色」によって、日光を非常に眩しく感じる人々が多くいるのです。
日本人にとって、快晴の下のスキー場にいるような感じでしょうか。
「眩し過ぎて目を開けられない」という声を聞いたこともあります。
そういう観点からすると「単純に生活に必須のアイテム」ということになるでしょうか。
もちろんファッション性もあるのでしょうが、屋外で働く人々、通りを行き交う人々の多くが、濃い色のサングラスをかけているのにも納得できるのです。
対して日本ではファッション性を最優先する理由からか、夜になっても「頑張って」サングラスをかけている人を見かけることがあります。
こんなところからも、サングラスについての「ある種」のイメージが醸し出されていったのかもしれません。
そういえば「色眼鏡で見る」などという表現もありましたね。
このイメージという問題、実は日本におけるワインにもあると思うのです。
一般的には「高い」「気取っている」「難しい」「特別な席での飲み物」等です。
とっつきにくい存在とでも言えばいいのでしょうか。
残念ながら「単純に生活に必須のアイテム」とはなっていない存在。
いかがでしょう。
しかしながら本来のワインの存在とは、生活に潤いを与えるもの、「単純に生活に必須のアイテム」なのです。
決して高いものばかりではなく、特別な席でのみ飲まなければならないものでもないのです。
現在の日本では、特に酒類に関しては、多くの選択肢があります。
それ自体は本当に素晴らしいことです。
でも、もし「ある種」のイメージを理由にワインに距離を置いている酒飲みがいるとしたら、それは実に残念な、悲しいことだと思うのです。
欧州の伝統的な産地のもの。
ニューワールドの野心的な醸造家のもの。
長年の努力が具現化しつつある日本のもの。
多くの選択肢が目の前にあるのです。
どうでしょう、「ある種」のイメージを払拭し、今日、一本のワインを選んでみませんか。
「色眼鏡」を外して、ワインに向き合ってみませんか。
万一、その選択に迷ったら、個性的なぶどう品種、忍耐強いぶどう生産農家、そして、情熱的な醸造家が生み出したスペインのワインを。
その一本のワインが、愉快で忘れ難い時間をもたらしてくれるはずです。