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干ばつにより出現した「幽霊村」


今年も大雪による災害や影響が各地で伝えられていましたね。

関東では大雪への警戒が言われながらも、大きな影響がでずに済んでよかったとは思いますが。

なんとなく近年は冬は寒く、夏は暑いという気温の幅が極端になったように感じます。

また、世界的な気温上昇により、ぶどう栽培の北限変わりつつあり、以前はドイツが北限とされていましたが、現在はスウェーデンの南部でもワイン用ぶどうが造られるなど、気候変動は、ワイン製造にも大きな影響を与えています。

今回はそんな気候変動により、話題となっているスペインのある村をご紹介します。

スペインの北西部ガリシア州にありポルトガルとの国境の境にあるオーレンセ市のアセレド村は、1992年1月にスペインとポルトガルの2か共同でのリンドソ貯水池の建設により水没しました。

両国の水源確保と水力発電の為の国家事業ながらも、この村には当時は70世帯約100人が暮らしていて、反対する住民たちの合意を待たずして沈められ、多くの家畜や動物が逃げ遅れたという悲惨な記録も残されています。

そんな30年前に水の底に沈んだ村が、昨年10月から続いている干ばつの影響により、村全体が姿を現しています。

グリーンスペインと言われるほど、国内でも雨の多いガリシア地域ですが、近年降雨量が少なくなってきているようです。

そして、水位低下により昨年11月より池に沈んだアセレド村が姿を現し、「幽霊村」として話題になり、現在その村を一目見ようとガリシアやポルトガルから多くの人が訪れています。

オーレンセ市としては村への人の出入りを禁止要請しているようですが、観光客が後を絶たないようです。

当時この村を出なければならなかった村人にとっては、悲しい惨劇を思い起こさせる場所でもある為、心境はとても複雑だとおもいます。

村ではぶどう栽培もされていたようで、植樹されていた葡萄苗がそのままの姿を残しています。

スペインでは、現在このアセレド村のみならず、カタルーニャ州でも同じように干ばつの影響により沈んだ村の一部が姿を現すなど、ところによりで水不足が深刻な地域がでてきました。

干ばつはアメリカや、アフリカだけでなくヨーロッパでも深刻な環境問題としてとらえられていますが、水源の豊富な日本にいると世界で起きているその深刻さに目を向ける機会は少ないと思います。

ワインやスペインを通じて知りえたニュースなだけに、こうした気候変動がいずれ世界のワインにも大きな影響を与えると思うと他人事には思えません。

自然環境に左右される農産物でもあるワインに関わることで、私自身もおのずと自然環境への関心も高まりました。

美味しいワインを後世に残していくためには、環境に配慮したオーガニックな農法や醸造というのも大切だと思いますが、それ以前に、その環境下をいかに保っていくべきかという、さらに大きな枠組みで考えていくことの重要性を改めて感じさせられました。

時には、飲んでいるワインの生まれた環境に目を向けてみると、また違ったワインの楽しみ方ができるのではないでしょうか。

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